ディープ・ブルー
- 出版社/メーカー: 東北新社
- 発売日: 2005/05/27
- メディア: DVD
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公開前からチェックしていたのですが、公開場所や公開期間が狭い範囲だったため、劇場では観ることが出来なかった本作。
待望のDVDが発売されたので、発売日前日にフライング購入してきました。
『誰も見たことのない世界を見せてあげよう。それは90分間、人であることを忘れる壮大な海の物語』
というキャッチコピーにあるように、想像以上にすごい作品でした。
イギリスBBC制作。
製作7年、ロケ地200ヶ所、撮影フィルム7000時間。
通常のドキュメンタリー映画の約2倍の制作期間を設定して撮られた、とにかく妥協の無い作品です。
共同監督・脚本は、1983年からBBCナチュラル・ヒストリー・ユニットで自然ドキュメンタリー番組を手がけているアラステア・フォザーギル。もう一人は、水分地質学の博士号を持ちながら、経験豊富な水中撮影を専門とするダイバーでもあるアンディ・バイアット。
音楽は、「ガンジー」などで米国アカデミー賞に延べ5回ノミネートされているジョージ・フェントンが担当。演奏は、映画音楽に参加するのは初となるベルリン・フィルハーモニー管弦楽団が行っている。未だかつて見たことの無い迫力ある映像には、彼らの演奏しか有り得ないと言えるほど秀逸の作品。
圧巻は、鰯の大群を襲うイルカ、マカジキ、マグロ、イワシクジラ。どうやって撮っているのか?と思うほど至近距離で撮影されている。メイキングを見ると、実際にダイバーが鯨から数メートルという距離でカメラを構えているから驚きだ。鯨との遭遇に、船に上がったカメラマンのリック・ローゼンタールは「信じられない、2mまで近寄っていたら自分も鰯と一緒に吸い込まれていたよ。素晴らしい光景だった」と目を輝かせていた。
それから、コウテイペンギンの水中シーン。これが観たくてDVDを購入したと言っても過言ではないのですが、水中での彼らはまさしく鳥そのものであり、素晴らしいの一言。海中で一度急降下し、それから一気に勢いをつけて氷上へ上がる速さは弾丸の如く。あんなに格好の良いペンギンはなかなか見られません。撮影は、ダイバーをアザラシと恐れて警戒してしまうため、ポールカムというカメラを沈めて撮影されています。
あとはミズナギドリの魚を捕食するシーン。鳥が水中で羽を使って潜る姿など、想像していなかっただけに驚きでした。こちらの映像は、20年間ミズナギドリを研究してきた科学者をも驚嘆させ、そんなに深くは潜れないはずだとされてきた定説を覆しました。
他にも新種のクラゲや蛸などの撮影に成功し、映像の一部は今も学会で使用されているそうです。
全ての撮影が専門分野をもつ最も熟練したカメラマンによるものばかりであり、彼らは口々に「最も大事なことは動物を知ることだ」と語る。知識と経験、忍耐と執念のなせる業。”プロ”という言葉がこれほど感じられる作品も珍しいと思いました。
もう言うこと無し、素晴らしかった。観終わってから、いや〜、BBCってすごいなぁ。これは歴史的作品だよ。と興奮冷めやらぬ中、我が国のTVを付けると”立ち上がるレッサーパンダ”の話題が繰り返し報道されておりました。なんだかちょっと・・・ソレデイイノカ?と思ってしまった(^^;